学習管理システム(LMS)とは
新型コロナ禍の影響で、世界の教育の方法は、大きな変化を遂げようとしています。現状では、対面授業の代替としてZoomなどによるリアルタイムの遠隔授業がたくさん行われていますが、遠隔授業の方法としては、リアルタイム型の授業のほかに、オンデマンド型(学習者が各自の都合で好きな時にアクセスして授業を受ける方式)もあります。
オンデマンド型学習システムでは、教材やテストが、コンテンツとして整備され、学習者一人一人の進捗状況や達成度が管理できるようになっています。
このようなオンデマンド型学習システムは、学習管理システム(Learning Management System / LMS)と呼ばれています。
充実した遠隔授業の環境を整えるためには、リアルタイム型とオンデマンド型の適切な組み合わせが必要です。また、対面授業再開後においても、課題の提出や学習資料のアーカイブなどに学習管理システムは、大きな力を発揮することでしょう。
今すぐに、オンラインの学習管理システムを導入することは検討していない、という関係者の方にも、ぜひとも一度、学習管理システムがどのようなものかを知っていただき、将来どのような使い方ができるのかなどを検討していただけたらと思います。
Moodleとは
弊社でお勧めしているMoodleは、世界で広く使われている代表的なLMSのひとつです。もちろん日本語対応しています。
Moodleは、ウェブサーバ上で動作します。したがって、学習者がコンピュータにMoodle用のソフトなどをインストールする必要はありません。EdgeやChromeなどのブラウザでアクセスして利用します。画面の小さいスマートフォンには、専用アプリも無料で用意されていて使いやすくなっています。
生徒にタブレットを配布している学校では、生徒側で用意するものは、ありません。個人のスマートフォンの利用も可能です。
Moodleでは、完全な遠隔学習、グループ学習、自習など、様々な学習形態を学習者に提供しています。また、様々なプラグイン(追加機能)が用意されていて、それぞれの特徴に合わせたシステムの構築が可能です。
Moodleには、システム管理者、教師、生徒の三つのユーザの種類があります。教師は、「コース」を管理し、学習資料やテストなどを制作・登録します。テストの種類も豊富で、さらに採点機能も充実しています。慣れないうちは苦労しますが、使ってみればこれほど便利なシステムは他では見当たりません。参加している生徒の進捗状況や達成度などもグラフ化されて見ることができます。教師としては自分が作成した教材の効果をすぐに確かめられることは大きな魅力です。
Moodleは、システムが表示するメッセージの書き換えもできます。もともとは大学用のシステムとして開発されてきましたが、わかりやすい言葉に書き換えれば小学校でも利用できます。また、独自の用語を用いて企業内での社内研修にも適応が可能です。
Moodleは、オープンソースのシステムとして提供されています。そのため、試用、本運用にかかわらずライセンス料は、無料です。
Moodleを動かすには、ウェブサーバが必要です。校内からのアクセスが主な環境では、校内にウェブサーバを用意することが基本になります。学習者の家庭や公共ネットワークからアクセスするためには、ウェブサーバのインターネット上への公開や、AWS等のクラウド上での運用、または、Moodleを有料サービスとして販売している会社(またはMoodle.org)への登録が必要になる時もあります。
様々な運用形態が考えられるので、実情に合わせて検討していくことになると思います。自前でサーバを用意する場合でも、一般的なウェブサーバで動くので、試用であれば、パソコン1台から始めることができます。
お気軽にお問い合わせください。
オープンソースとは
オープンソースとは、一言でいえば無料で使えるソフトということです。ただし、オープンソースにもライセンスは(何種類か)存在し、その決まりによって無料での配布、再配布が保証されています。
無料だからと言って品質が劣るわけではありません。逆にオープンソースの利用者は、そのプロジェクトに参加している意識が高く、様々なフィードバックや運営費に対しての寄付をして、そのプロジェクトを普及し、品質を向上してきました。いわば、善意の輪、良識の輪で成り立っているプロジェクトです。
Moodleだけでなく、本ページで紹介しているFreeBSD(オペレーティングシステム)やApache(ウェブサーバ)などもライセンス形態は異なりますが、オープンソースの仲間です。したがって、弊社がシステムを納入する場合においても、ソフトを仕入れて販売するわけではありません。ソフトのライセンス料は無料なのですから。
ためしてみる
本格的な運用には、学校全体での教材(コンテンツ)管理体制やシステム管理体制の整備が必要ですが、導入を検討する段階では、まず、LMSがどのようなものか有志らが実際に少し使ってみて、その後の方針を決めていく必要があります。
前述のように、弊社がおすすめする「moodle」はオープンソースなので、試験的運用やその後の本格運用についても、ソフトウェアのライセンス料などは一切かかりません。
それどころか、moodleを実行するための環境での基本ソフトやwebサーバソフト、データベースなども、すべてオープンソースで構築することができます。
したがって、校内のLAN環境が整っていれば、必要なものとして上記のソフトを稼働させるハードウェア(パソコン)が一台あれば、実験環境が構築できます。
無料(オープンソース)とはいえ、moodleは、全世界の有名大学などで運用されている「本格的」なシステムです。便利で効果的な使い方もあれば、使いこなすのに労力がいる機能もあります。
導入検討に先立って、そのような長所短所を検討していただき、また、実運用時の管理体制も検討することが、導入成功の鍵になるはずです。
弊社では、お客様の環境に応じて、このような試用環境を導入するお手伝いができます。ご興味をお持ちになった方は、まずはお気軽にご連絡ください。
参考:弊社がお勧めする標準的な試用環境(変更可能です)
- ハードウェア
cpu:i5 Mem:4GB HDD:500GB - ソフトウェア
FreeBSD 12.x, Apache 2.4, MySQL 7.x, PHP 7.x,
moodle 3.9.x, 3.10.x
運用に必要なこと
1)コンテンツの作成・運用計画
システム運用のことになるとコンピュータシステムの運用計画に目が行きがちですが、LMSをうまく運用するためには、やはりコンテンツを管理する体制の構築とその計画が重要です。
学習コンテンツは、それぞれの教育機関の特色や方針、さらに、学習者の傾向などを考慮したものでなければなりません。
また、学期当初に1学期分のコンテンツを整備することが望ましく、教員の方々への負荷の偏り(人的・時期的)の問題も克服しなくてはなりません。
はじめてコンテンツを作成する時には、苦労もします。先行するサイトや研究会の報告などを参考にするのも有効です。
弊社の代表取締役(久米)は、10年近く大学等での非常勤講師を経験し、授業に積極的にmoodleを利用してきました。自らコンテンツを作成し講義をしてきた経験から、皆様のお役に立てるノウハウを有していると自負しています。ぜひともお気軽にご相談ください。
2)システムの作成・運用
試用環境と異なり、実運用に供する環境は、「動けばいい」というものではありません。LAN内での安定した運用やインターネット上への公開などにまつわるセキュリティの確保や、ハードウェアやソフトウェアのトラブルに対するバックアップ機能の拡充も必要です。
弊社は、コンサルティング業務に加え、セキュリティ対策、インターネット上またはLAN内のwebサービスの開発、LAN整備、などを本来の業務としています。LMS運用につきましても本来業務のノウハウをご提供できます。
moodleに関して特筆すべきことがあります。
moodleは、その性格上、安定した連続運用が必要です。また、外部からの攻撃等について十分に強固でなければなりません。そのため、moodleは他のCMS(wordpressなど)に比べて、大きなバージョンアップの頻度が高い傾向にあります。
また、他のCMSよりも機能が豊富であるためバージョンアップ時の操作でミスが多くなるという傾向があります。
これらの諸問題を解決する一歩は、まずは、適切なバックアップです。
弊社では、毎時のスナップショットや代替サーバへのミラーリング、リモートサイトへのデータのバックアップ(災害時対策)など様々な手法をご用意しています。皆様の環境やご予算に合わせて御提案が出来るよう心がけていきます。
また、Moodleに関わらない校内のLAN環境やパソコン環境などについても、お気軽に相談してください。
同業他社様へ
弊社では、Moodleの普及に向けて、同業他社様との協業も視野に入れています。もともと規模の小さい会社ですので営業力なども不足しています。
- WordpressなどのCMSの業務をしていて、LMSにも興味がある
- 学校関係の仕事をしていて、LMSもやってみたい
など、または、そのほかのご用件でも、弊社にご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。